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パススピード

僕の携帯電話は、ムーバSO505iSだ。「シャキンッ」と回して、発信番号を押すやつである。もう1年以上使っているのだが、ずっと使い方を間違っていたことに気付いた。同じ電話を使っている人が、シャキンッと回さないまま、話していたのだ。

「それって、回さなくても話せるんですか?」

もの凄く驚かれた。僕はずっとシャキンッと回して話していた。先端にマイクがあると思いこみ、電話中に誰かに話しかけられると、その先端を押さえて対応したりしていた。すべて筒抜けだったわけだ。僕が押さえていたのはアンテナだった。恥ずかしい~。

さて本題である。コメントにご質問のあった、パススピードについて書きたい。

ラグビーは原則的に、走って縦に進み、パスで横に進む。現代ラグビーの防御は、FW周辺をしっかり押さえ、内側からタッチライン方向に押し出すようにプレッシャーをかけるのが主流である。スタンドから見ていると、攻撃側が人数的に余っていてタッチライン際にスペースがあり、「回せ~っ」と思うことが多々ある。ところがパスを回しているうちに結局タッチラインに押し出されてしまうことが多い。なぜか。パスが横に動いている間にディフェンダーが追いついてくるからだ。

たとえば、攻撃側が4人で防御側が3人のシーンがあるとする。攻撃側が一人ずつ相手を引きつけながらパスをすれば確実に一人余ってトライになるのだが、防御ラインとの間合いがかなり詰まっていると、そうはいかない。攻撃側の起点になる選手は味方を2人飛ばして、一番端の選手にパスを送る選択をするだろう。

この時のパスは、まさにスピードが大事だ。1秒か、0.5秒かで抜けるか抜けないか決まるのである。山なりのゆっくりしたボールを放れば、ディフェンダーが端の選手に間にあうわけだ。でも、もしパスにスピードがあって、飛ばされた選手もキャッチできるくらいの低いパスができたら、ディフェンダーも外に流すことができずに、一番外の選手にタックルするのが難しくなる。スピードがあるロングパスは、それだけで武器になるわけだ。

ランナーがボールを受ける前に横に走り、そこにスピードあるパスが伸びてくれば、ディフェンダーを簡単に抜き去ることができる。 春の日本代表対ルーマニア代表戦で、大畑選手が横に伸びて、そこに辻選手が見事なパスを送ってトライになったシーンを覚えている方も多いと思う。パスがおじぎするようなものだったら、トライにはならなかっただろう。

数年前に、元オーストラリア代表のCTBティム・ホラン選手が来日した際に、パスを見せてもらてことがあるが、軽く30m以上のパスをしてくれた。オーストラリア代表のBKはみんな30m以上投げられると言っていた。それだけ投げられれば、2つのパスでグラウンドの横のスペースを一気に横断できる。このパスにスピードがあれば、ディフェンスは届かない。

早稲田の清宮監督はパスのスピードで抜くプレーが好きなように見える。ただし、ここが重要なのだが、速ければいいというのもではなく、ディフェンダーが飛び出したりしてきたときは、ふんわり頭を越えて、サポートの選手が一番スピードに乗ってキャッチできるところに投げることも必要になる。世界のトップレベルのSOは、パスの緩急が抜群に上手い。曽我部選手はパススピードの緩急で防御を翻弄できるタイプだ。もっともっと正確性を高めて頑張って欲しいと思う。

うわ~、真面目に書いちゃった。いつのまにやら11月。

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    「日記」カテゴリの記事




    コメント

    パスといえば、その昔
    ワールドのマッガーンから直々にスクリューパス教えてもらいました。なつかし~ぃ!彼はどうしているかしら??

    携帯電話は、穴で音を拾っているのではなく、機会全体で音を拾っているらしいので、穴を防いでも意味ないと思います。
    日本人は、ここが話す所ですよ~という印がないと落ち着かないからそれらしき穴が空いているのだそうです。
    (間違ってたらゴメンナサイ…)


    投稿: kiyomi | 2005年11月 2日 23:55

    私もSO505iSを使ってます。
    私は、着信があっても開けたり回したりする必要がないのが良くてSO505iSを買ったというところもあったので、村上さんのようなことはありませんでしたが、回さないままで話すと口元まで携帯がこないので、しばらくは違和感がありました。
    ところで、いちいち「シャキンッ」っていうのうるさくないですか?
    私は、何も鳴らないように設定して使ってます。
    ラグビーと関係ないところに食いついてしまって、すいません。

    投稿: しがないラグビーファン | 2005年11月 1日 20:56

    dragonさんへ
    すいません、わざわざレス戴いて深謝です。
    敵味方の間の真空地帯…(台風の目の中では風がやんで晴れたりする…)そんな感じなのかなーと思いました。
    効果的、といっても誰でも(どんなSHでも)出来るものでもないようですから、このプレイを成功に導くためのファクターが何かあるんでしょうね。
    反対にディフェンス側はこの攻撃を不成功にするために何がポイントになるのでしょうか。
    考えると疑問がつきません。頭が良くないとラガーマンになれないなーと思うことしきりです。

    投稿: 素人観戦者 | 2005年11月 1日 20:37

    日曜日にラグビー・クリニックを買いました。読んでびっくり、技術論が一杯!村上さんの日記でわかっていたはずなんですけど・・・・・夫と娘に『ずいぶんマニアックな本、買ってきたね』・・・言われてしまった。

    立正大の堀越監督の記事を一番に読みました。今日の日記と通じるものがありますね。立正大のこれからが楽しみです。

    投稿: みなたれ | 2005年11月 1日 14:08

    正面を向いて左右にパスする場合、やっぱりパスの距離、速さに大きく違いが出てくるのでしょうか?右が利き腕の場合、向かって左サイドへのパスのほうが距離が出る気がします。右利きばかりのチームは左サイドに展開するパスのほうが速くて遠い?

    投稿: ひなP | 2005年11月 1日 12:52

    日本のBKラインは、素早くて綺麗であるといわれていたことがありますが、総称してなんと呼ばれていたのでしょうか?日本のラインは、以前、スクリューパス(スピン)など回転させてパスをせずに、スナップを利かせたストレートパスが主流でした。その最たる足る物が早稲田のBKラインでした。それは、華麗で素早かった。スクリュー全盛時代ですが、日本人の特性を生かそうと思えば、スクリューパスではなく、ストレートパスで世界に挑戦すべきですね。もう一度!

    投稿: dragon | 2005年11月 1日 10:07

    セーフティーゾーン
    本当ですね。考えると妙な表現ですね。
    通常、スクラムハーフは、スタンドオフとコンビでハーフ団と表現されます。特にスクラムハーフは、FWとBKのつなぎ役としてリンク・プレイヤーとしての意味合いが強く、まさにパッサーでなければなりません。通常、スタンドには、相手スタンドがマーク(ディフェンス)します。FWは、ポイント周辺をケアしながら、突進してくるプレイヤーとスタンドオフをケアします。そのため、突然、スクラムハーフがボールを持って横走り(セーフティゾーン)を始めると、FWのディフェンスも突進してくる選手ではないので捕まえるのに時間がかかります。スタンドオフとも距離があるのでタックルされるのに時間がかかります。また、スタンドオフがタックルをすると、ディフェンスの数がアタックよりも少なくなるので、迂闊にタックルできません。そのため、FWとBKディフェンスとの僅かなゾーンにほんの一瞬だけ空間が生まれます。そのため、非常にセーフティにボールを扱えることになるのです。
    補足として、FWのサイドアタックは、相手チームのスタンドオフめがけて突進してポイントにそのまま巻き込みます。そしてBKのディフェンスの数を少なくしてライン攻撃を仕掛けるのがセオリーとされています。神戸製鋼の齋藤選手などがその典型なのでご覧下さい。また、全盛期のサントリーとハーフの田中選手のセーフティゾーンの使い方は、抜群でしたね。原動力のひとつでした。
    こんな感じで良いでしょうか。文章での説明は難しいですね。

    投稿: dragon | 2005年11月 1日 09:58

    村上さん、詳しい解説ありがとうございました。
    参考になりました。パススピードの大切さがとてもよく理解できました。
    パサーがパスを送る前にフェイント(ステップを踏んだり、視線をインサイドに投げたり)を織り交ぜられるとディフェンスの足を止められて、更に効果的になるんだろうなと理解致しました。

    もう一つご教示戴けるとありがたいのですが、スクラムからSHが横に走って外にパスをしてトライするシーンで『セーフティーゾーンというのですがあそこはタックルに行きにくいんですよね』と解説されました。昔、バショップも同じようなコースを走りながらプレイしていたことを思い出したのですが、ディフェンスにとても近いところを横に走る(とてもタックルを受けやすそうに見えるんですが)のにセーフティーとはどんなイメージなのでしょうか。

    投稿: 素人観戦者 | 2005年11月 1日 08:58

    村上さん、こんにちは。
    「パスの速さ」といえば、ポール・マッガーン選手(元NZ代表のSH)を思い出します。ワールドで、SO松尾選手(愛称:与作)とコンビを組んでいたのですが、その時の「速く・正確・捕りやすい」パスは、本当に素晴らしかった。他のSH選手のパスが「いつも山なり」に見えましたから。今も「マッガーン選手のスピード・クラス」のパスの出来るSHを見たことがありません。PS~シオネ・ラトウ選手(大東大・190cm)の「ロングパス」は、凄かったな~!

    投稿: こう | 2005年11月 1日 08:45

    初めてコメントさせてもらいます。パスについての内容興味深く読ませて頂きました。それで早稲田のラインなんですが、SOとCTBがすごく横に流れてパスを回すでしょう。縦と横をうまく使っているんだと思うんですが、村上さんはご覧になりますか?機会があったら教えてください。

    投稿: 46 | 2005年11月 1日 07:08

    ラグビープラネット面白かったです!
    松尾雄治さん、わかりやすくて、独創性があって、ラグビーを愛しているんだなぁと感じました。
    ぜひ村上さんとのコンビでラグビーのいろいろなテーマのお話や試合の解説が見たいです!
    トップレベルでの松尾さんの指導姿も見たいですね。ご本人ももっと上のレベルで教えたいように感じました。

    投稿: ひなP | 2005年11月 1日 05:55

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    » 松尾雄治さん [ラグビーフィーバー!!]
    スカパーのラグビー情報番組「ラグビープラネット」を見た。今週はラグビージャーナリ [続きを読む]

    受信: 2005年11月 1日 07:12

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