« 柔らかなパス | トップページ | ラグビーに愛を »

ラグビーの独自性

水曜日は専門学校の講師をする日だ。午前中は、ライター講座をやる。そこで題材として、2003年ラグビーワールドカップのベストプレー編のDVDを見せた。もちろん、毎度ラグビーのことをやっているわけではなくて、いろんな題材で文章を書いてもらうのだが、今回はラグビーにしてみた。JSPORTSから発売されているDVDを流しながら、背景や強いチームのことなど説明していく。

観客席が映し出されると、ラグビーはサポーター席を区切ったりせず、一緒になって応援することを説明した。「イングランドとアルゼンチンが戦ったら、ケンカとかにならないんですか?」と聞く学生もいた。サポーター同士の乱闘などが絶えないスポーツもあるから、そういった質問が出るのだが、「ラグビーではサポーター同士のケンカはほとんどないよ」と言っておく。

あとで書いてくれた文章を読んでみたが、客席に興味をひかれた学生は多かった。オーストラリアとイングランドのサポーターが肩を組んで観戦していたり、酒を酌み交わす姿が新鮮に映ったようだ。そして、「荒々しい、痛そうなスポーツという印象が変わった」と書く学生も多かった。華麗なステップワークやパスワークが随所に映し出されていたからだ。多くの学生が、ボールゲームとしてラグビーは面白いと感じてくれたようだった。僕がいくら言葉で説明しても半信半疑だったことが、映像を見ると一度で好きになる。やはり、見せなきゃいけないんだなぁって再認識した。

そして、ここが大事なのだが、いつもサッカー、野球に親しんでいる学生達が、ラグビーに感じた魅力。サポーターの温かい雰囲気、そして肉弾戦だけではなく華麗にプレーが継続していく事への興味。このあたりに、ラグビーのプロモーションのヒントがあるはずだ。観客席の雰囲気と試合後の選手の交歓風景はラグビーの特徴の一つである。映像の中には、試合後、南アフリカとサモアの選手が一つの円陣を組んで祈りを捧げるシーンもあった。このラグビー文化をうまく伝えて行かなくてはいけない。学生達の反応を見て、そんな気持ちになった。

夕方、トップリーグパネル議長の稲垣さんと話す機会があった。パネルは、観客増員など今後のトップリーグの方向性や施策について話し合い、運営側に提案していく機関だ。稲垣さんも、アフターマッチファンクション(試合後の交歓会)の文化は重視していて、両チームのファンも一緒になったアフターマッチファンクションの導入を進めたいとおっしゃっていた。すでに行われている試合もあるのだが、すべての会場で行われているわけではない。来季からは、トップリーグは14チームになるし、試合数は格段に増えるが、アフターマッチファンクションの文化が根付くよう切に願う。

大学時代の恩師の坂田好弘氏によく言われた。「ラグビーは試合だけしたらいいってもんやない。試合後の交流も含めてラグビーなんやぞ」と。

追記◎きのうの日記に書いた全国大学オールスターゲームは、1月15日、午後2時から花園ラグビー場で行われます。

|

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


  • « 柔らかなパス | トップページ | ラグビーに愛を »

    「日記」カテゴリの記事




    コメント

    トップリーグの集客低迷に対して、非情に示唆的なコラムだったと思います。特別なPRなどせずとも早慶戦などには沢山の人々が集まってしまうことを考えれば、何らかの糸口が見えてくることであろうことは解っているものの、『伝統の一戦』という一言で片付けてしまうことの愚かしさをあらためて思い知ったような気がします。ワールドカップを呼べるだけの国になるためには、国代表或いは国のトップリーグに揺らぎの無い魅力が必須なのだと考えます。

    投稿: こさく | 2005年12月 1日 23:00

    3日は花園へ行き、大体大を応援する。負けると思うが、同志社にぶつかっていってもらいたい。4日は明治を応援するために東京へ行く。これも負けると思うが、点差だけは離れないようにしてもらいたい。

    投稿: Y | 2005年12月 1日 22:56

    全国大学オールスターゲームは、花園で開催されるのですね。うーん、観られない。残念です。
    さて、学生さんたちのラグビーに対するイメージの変化、興味深いですね。スタンドで応援するファンも、相手チームの素晴らしいプレイには、拍手を贈る。こういう感覚は、ラグビーを知らない人たちにとっては、新鮮なのかもしれません。
    先日の南ア対フランス戦でも、あの激しい試合後に、両チームの選手たちが互いに握手をしていました。いい光景だなぁ、と思いつつ画面を観ました。ラグビーは、痛いだけじゃない。そしてゲームは、プレイヤーと観客とで作られる。ラグビー独自のノーサイドの精神は、これからも残して欲しいし、伝えていきたいですね。

    投稿: サファイヤ | 2005年12月 1日 22:02

    自分も高校のときNZに遠征した試合後のアフターマッチファンクションはすごく新鮮に感じた。あんなに荒々しく戦った後なのに、こんなに和気あいあいと異文化交流♪やっぱ紳士なスポーツなんだと。お互いの高校制服のネクタイを交換したり。
    こういったノーサイド・アフターファンクションの紳士的な面と、貴族社会からの保守的な面と。
    ラグビーには残していかなければならないことと、変えていかなければならないことがあると思う。

    投稿: わらびー | 2005年12月 1日 21:33

    ラグビーが対抗戦を中心にしていた時代には、
    ノーサイドの精神が根付いていた気がします。
    しかし、WC開催以降のプロ化の流れの中で、
    リーグ戦などではノーサイド精神と言うものは
    薄れているのではないでしょうか?
    アフターマッチファンクションも時間の関係で
    そんなに長くできないですよね。でもやはり
    ノーサイドの形は残して欲しいです。終了後、
    バレーボールのように全員で握手するような
    形でもしたほうがいいのかもしれないですね

    投稿: 瑞穂 | 2005年12月 1日 19:34

    イングランドとアルゼンチンは、戦争していた時期もありましたからね。サポートーの激しさも増すのでしょう。
    世界のラグビーの良いところは、理解できますが、「ノーサイド」とか日本人はよく口にして好きですが、ほとんど、ゲームが終わってもサイドに分かれているじゃないですか。特に大学では、観客席にお礼をすることはあっても、両チームのプレイヤーが、互いに握手することすらほとんどありませんね。サイドに分かれすぎ!日本特有のノーサイドの精神は、ありませんね。
    指導者が、一つひとつラグビーの文化性を教えていかないといけませんね。ラグビージャーナリストとして、普及啓蒙を宜しくお願いします。

    投稿: dragon | 2005年12月 1日 10:11

    コメントを書く



    (ウェブ上には掲載しません)


    コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



    トラックバック

    この記事のトラックバックURL:
    http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/86642/7402411

    この記事へのトラックバック一覧です: ラグビーの独自性:

    » 12月第一日曜の決戦 [ラグビーフィーバー!!]
    今日から12月ですね~。今年はあんまし寒くないかな。今の時期、数年前まではホット [続きを読む]

    受信: 2005年12月 1日 07:16

    » 『アルティメット・クラッシュ』は奥克彦さんの言葉 [やまけんのひとりごと]
    今日から12月。師走という名の通り、年の瀬は忙しくなるものですが、毎年12月になり、ラグビーの伝統の一戦、早明戦前になるとと忘れられないことがあります。それは、早稲田大学ラグビー蹴球部出身の外交官の奥克彦さんがイラクで銃撃され亡くなられたこと。あれから早くも2年の年月が流れて、改めてその重きを感じます。... [続きを読む]

    受信: 2005年12月 1日 13:01

    » TanHAMA [まる≠楕円・・・?]
    TanHAMAとは、静岡県西部の地方情報誌です。 12月号の付録にラグビー特集 [続きを読む]

    受信: 2005年12月 2日 20:05

    « 柔らかなパス | トップページ | ラグビーに愛を »