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フェアに、生きよう。

雨が降り続き、夜には地震が。そんな水曜日、例のごとく専門学校で教壇に立っていた。1年生のライター講座は来週もあるのだが、2年生の授業は今期最終日だった。「スポーツ文化論」という授業で、学生にいろんなスポーツを調べて発表してもらうのが大半であり、それ以外は僕がラグビーの現場で感じたことや、海外と日本のスポーツ文化の違いなどを話したりしてきた。2003年ワールドカップの時は、ひたすらラグビーの話をし続けていたなぁ。諸事情あって今期限りで学校を離れることになった。せっかくの機会だし、最後に僕が伝えたいことを話さなければと考えた。

結局、モラルの話をした。難しい話ではない。先日お伝えした「立教ラグビー宣言」にも書いてある「ルールで禁じられていなくても、フェアの精神で自らを律してプレーする」という考え方を今一度伝えたかった。もちろん、ラグビーに限った話ではなく、スポーツにはそういう精神を磨く要素が詰まっている。命がけの真剣勝負の場でも、自分を律することが求められる。審判に見えないところで、相手の頭を踏んでみたり、目に指を突っ込んだり、もしそういうことをして勝ったときに本当の喜びはあるのか。喜ぶのはおかしいのではないか。そう感じることのできる人間を育てる要素が間違いなくある。

話しているうちに、すっかり熱くなってしまったのだけど、僕がモラルが大事だと話すことで、一人でも何かを感じてこれからの人生に生かしてくれればいいと思った。結局僕が言いたかったのは、スポーツは素晴らしいということではない。スポーツをやっている人にも罪を犯す人はいるし、スポーツをやっていなくてもフェアの精神やモラルを見事に身につけている人もいる。モラルとは何か? 何がフェアなのか? そう問いかけても、誰かが正しい答えを提示してくれるわけではない。結局は自分で線を引いていくしかないのだと思う。気付けるかどうかなのだ。とにかく、社会に出てもフェアな生き方をしてくれ。自分が正しいと思うことを貫いてくれ。最後はお願いだった。

人に何かを教えるというのは本当に難しい。20くらい年下の学生達に、僕自身が教えられることが多かった。僕は週1回しか学校に行かない。それでは、彼らの人間性まで理解することはできないし、どうしても技術的な指導になる。それすら僕の場合は危なっかしい。ほんと、いい経験をさせてもらった。

木曜日は楽しみにしていた選手のインタビューがある。それが誰かは明日の日記にて。

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    「日記」カテゴリの記事




    コメント

    フェアであること、公平であること、平等であることなどが中途半端に言葉だけ残るとどんどんおかしな理解になっていくように思います。
    スポーツであれ、勝負事であれ、仕事何にせよ、やはり真剣に必死に競争(闘争)することを経験しない人間が、平等にとか公平にといいだすと、どんどんなあなあの<からっぽ>が生まれるのではないでしょうか。
    フェアであるためには、やはり一生懸命でなければならないと思います。そしてその勝負に対する自分の準備が自分自身に対して恥ずかしいものではないかと問う、そういうことが必要なのでしょう。天知る、地知る、我知るなのだと思います。
    ラグビーだけがそれを教えてくれるわけでないけれど、体だけでコンタクトするスポーツは、痛みやけがを伴うだけにきちんとやればその部分が研ぎ澄まされていくのだと思っています。

    投稿: ”お” | 2006年2月 3日 22:50

    今日のある新聞に、三島由紀夫についての評論がありました。「からっぽな」日本についてですが、精神性が荒み、無機質な「からっぽ」社会が出現すると言っていたそうです。まさに、現在は「からっぽ」ということらしいです。
    ラグビーは、15対15という人格が一度に戦う、極めて有機的なものです。ルールがどうのこうの、レフリングがどうのこうのという、安直なルールの付け足しや批判はまさに無機質のたまものです。そうなればラグビーも「からっぽ」ですね。ラグビーぐらいは、人間の味がする躍動するものであってほしいですね。
    これからも活躍お願いします。
    「闘争の倫理」は人に勧めると、たいがいは途中でねちゃうか投げだすようです。「トムブラウンの学校生活」ラグビーを生んだパブリックスクールの様子が躍動的に描かれている。や「飛ぶ教室」(児童書)子どもの心の葛藤を絶妙の機微で描き出し、倫理観などを躍動的に描いている。大人も読んでほしいですね。

    投稿: dragon | 2006年2月 3日 22:10

    奇しくも、藤島大氏も、今週火曜(1月31日)の東京新聞夕刊のコラム「スポーツが読んでいる」で、「真剣勝負 社会に希薄な倫理培う」というタイトルで、立教ラグビー宣言を取り上げています。
    キーワードはやはり「フェア」ですね。

    投稿: 雀 | 2006年2月 3日 15:00

    初めてコメントさせていただきます。
    いつも楽しく拝見しており、面白いコンテンツをありがとうございます。

    フェアの概念を考える上で、極めて有意義な書籍があるのでご紹介しておきます。
    「スポーツ倫理学講義」川谷茂樹著(ナカニシヤ出版)

    どなたかが書かれていますが、「闘争の倫理」は少々難解すぎますでしょうか。ご紹介した書籍はラグビーに関しては、全く取り上げていませんが、村上さんが今回書かれているようなことが論理的に解説されています。(特にルールの概念の部分は興味深いです。)

    僭越ではありますが、私もこの件に関していろいろ考えておりましたのでご参考になればと思い書き込みました。

    これからも楽しいコラムを期待しております。

    投稿: コニシ | 2006年2月 3日 12:14

    フェアでなければならないのがレフリーである。フェアでないこと、すなわちファウルは反則であって、従来通り選手側は罰をうけることになるが、問題はレフリーに分からないように反則して勝った場合である。観客席から反則を見つける公平な陪審員を数名つけて、反則が有ったらマイナス加点する方法は私の考えである。理想は選手がフェアの精神を持って、反則無しの試合をすればいいのであるが。

    投稿: Y | 2006年2月 2日 22:50

    フェアに生きるって難しいですよね。
    でも、そのように生きられたら、素晴らしいですね。
    明日の日テレのぐるナイにマッチが出ますね。きっと、村上さんみるんでしょうね(笑)

    投稿: さちこ | 2006年2月 2日 22:42

    「闘争の倫理」ですね。大西鐵之祐氏の。闘争と倫理という矛盾概念の両立というか、あわさったものというか、少なくともラグビーを真剣にプレイしているものは、共通のモラルがあるでしょう。その闘争下での倫理が、社会に出て役立つのでしょう。大西氏は、それを平和へと昇華させています。
    中途半端にやっていると、理解が難しいでしょうね。
    フェアの概念の普及宜しくお願いいたします。

    投稿: dragon | 2006年2月 2日 22:24

    ラグビーは、規則(ルール)と言うより
    慣習法(ロー)から発展したスポーツで
    それならではの面白みがありますね。
    私の好きな言葉に、「上手いレフリーは
    反則をポケットに入れる」があります。
    意図的な反則には厳しく、でも意図的で
    ない反則にはアドバンテージを使う。
    紳士のスポーツならではと思います

    投稿: 瑞穂 | 2006年2月 2日 21:14

    全く感無量です。こんな講義が聴けた生徒達は幸せです。たかがラグビー、されどここまで話すことのできる村上さんもラグビーの世界も素晴らしいです。
    「モラルとは何か? 何がフェアなのか? そう問いかけても、誰かが正しい答えを提示してくれるわけではない。結局は自分で線を引いていくしかないのだと思う。気付けるかどうかなのだ。」
    この言葉、60歳真近の親父ですが、肝に銘じたいと思います
    自分自身の小さかった頃は、個々人のモラルの基盤として何か周りの社会にそれなりの良識といえるような規範がしっかり在ったように思えます。コミュニティカフェのようなことを3年ばかしやってきて、周りの人々の生業を見ていると、何だかこの規範がいつの間にかとても希薄になってしまっているような気がします。我々大人達こそ改めて村上さんが仰ることをしっかり受け止める必要があるんじゃないかと思いました。
    そんなことまで村上さんの道案内で考えることのできるラグビーって本当に最高ですね!
    村上さん、今後とも広く深く良き道案内人として頑張って下さいね。

    投稿: 雑多親父 | 2006年2月 2日 18:07

    あいかわらず素晴らしい。

    投稿: 尾中哲夫 | 2006年2月 2日 16:43

    いい授業をされていたのでしょうね。村上先生の授業を一度、聴講してみたかったです。
    その熱い想いは、きっと学生さんたちに伝わったことでしょう。彼らがその言葉を胸に、これからの人生、おおいに飛躍してくれることを願っています。

    投稿: サファイヤ | 2006年2月 2日 16:23

    (お詫び)
     先ほど、もう1回確認したのですが
     「12時開場」 と書いてありました。 大きな勘違いでした。したがって試合開始は予定通り 14時です。
     混乱を招く書き込みをして大変申し訳ありませんでした。
       12時開場 14時 Kick off
     のMS杯最終戦 熱戦を期待します。 (重ね重ね申し訳ないです。)

    投稿: ムラーカ | 2006年2月 2日 13:22

    村上先生の講義一度は拝聴してみたいものです。 ところで、話は変わりますが、今週末のMS杯Finalの
    Kick off が2時間繰り上がり
     「正午Kick off」 となったようです。(公式ページより)
     MS杯最終戦にあたり村上さんに質問があります。
      今大会終了以降、マイクロソフト社はどのように日本ラグビーと関わっていくのでしょうか?(M友Gのように撤退とならば痛恨の極みです。)
      MS杯はやはり、廃止しか道はなかったのでしょうか?(せめて、休止にしてほしかった。) 例えば、U26とか年齢制限を設けた若手育成大会にするとか存続方法はあったと思うのですが…
     ネガティヴな質問ばかりで申し訳ありませんが回答よろしくおねがいします。

    投稿: ムラーカ | 2006年2月 2日 12:58

    初めてコメントさせていただきます。
    本日のブログ感動しました。村上さんの伝えたかったこと、きっと生徒さんたちの胸に届いてると思いますよ。若者は僕らが思うよりずっと純粋です。
    私もその授業受けたかったです。最後の授業、なんか切ないですね。
     ラグビーの良さ、もっと世間に伝えたいです。ラグビーって最高です。ラグビー万歳!

    投稿: ワタナベです。 | 2006年2月 2日 12:49

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