神戸の結果と涙の理由
金曜夜は神戸にいた。3連覇に向けてひた走る東芝ブレイブルーパスと、「打倒・東芝」を掲げて今季のチームを作ってきた神戸製鋼コベルコスティーラーズの戦い。最後は、壮絶な試合になった。
立ち上がりから、神戸製鋼はFW陣が健闘し、ボールを大きく動かしながら東芝を攻め立てた。しかし、仕留めに入る局面でのパスミスなどを東芝に拾われて逆襲を許し、前半だけで4トライを奪われる。後半8分に東芝マクラウドにトライされた時点では、0-27という大差になった。それでも神戸製鋼はあきらめず、NO8クリブがトライを返すと、足が止まり始めた東芝を崩し始め、大畑大介のチャンスメイクから、WTB小笠原、FB八ツ橋がトライして東芝を追いつめた。一歩及ばなかったが、最後の頑張りは、6,000人を超える大観衆の胸を打った。HO松原は左手甲を、CTB大畑は肩の負傷をおしての強行出場だった。
「選手は東芝を攻めるターゲットをよく理解してやってくれた。勝ちきれなかったのは、東芝の強さ。しかし、昨年より差が縮まったと思う」と増保監督。ただ、ミスが多かったことは間違いなく、個々の弱さを感じたのも確かだった。
最終スコアは、27-21。改めて思うが、東芝は底力がある。神戸のミスを誘う分厚い防御と、一気に攻めに転じてトライを奪う決定力は王者にふさわしいものだった。
そして、東芝の記者会見。冨岡キャプテンの姿がない。薫田監督から説明があった。キャプテンは試合後、すぐに福岡の実家に戻ったという。ここで初めて事情が明かされた。今週の火曜日に、父・吉隆さん心筋梗塞のために亡くなっていたのである(享年57)。告別式などを身内だけで済ませたいという希望があったようで、報道もされていなかった。この試合は東芝の選手達にとっても特別な意味があったわけだ。全員が黒いリストバンドをつけ、キャプテンのために戦った。バイスキャプテンの廣瀬選手は「きょうは冨さんのための日だった。勝利で終えて良かった」と目を潤ませた。吉隆さんが倒れた日曜日、冨岡選手はすぐに帰郷したのだが、常々「キャプテンとしての仕事をまっとうしろ」と言っていた父の言葉に従ってチームに戻り、この試合に備えていた。
僕もこのことは知らなかった。いつもの試合前とはまったく違う鬼気迫る表情、そして試合後、グラウンドで号泣していたことが納得できた。福岡に向かう移動中に電話で報道陣にコメントしてくれたのだが、「平常心で試合に臨みました。チームをまとめるのが自分の仕事です。みんな頑張ってくれて、忘れられない試合になりました。父は、もっとも尊敬する人物でした」と話していた。
冨岡選手にお父さんのことは何度か聞いたことがある。ラグビー選手だったお父さんは、九州代表に選ばれたこともあるNO8で、冨岡選手にとっては福岡工業大学の先輩にあたる。冨岡選手が大学進学時に経済的なことを気遣って就職しようとした時も、「俺がなんとかするから、そんなこと心配するな」と言って大学に行かせてくれたそうだ。最後はそばにいたかったはずだが、キャプテンとしてチームを鼓舞した。試合終盤の苦しい時間帯に、冨岡選手はチームメイトに向かって自分の胸を叩いて叫んでいた。言葉は聞こえなかったけど、「ここだ! ハートの勝負だ!」と言っていたと思う。長男の立派な勝利を、お父さんも喜んでいるだろう。
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コメント
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投稿者: ijgnktv dqtxush (Sep 19, 2007 8:28:02 PM)
あのキャプテンシー。
闘将シェルフォード、サッカーで言うとドゥンガ。
チームを鼓舞出来るあの熱さは、日本人に欠けているものだと思います。
勇者です。
投稿者: TASH (Dec 16, 2006 11:09:29 PM)
神戸製鋼の後半の反撃は見応えがありましたが、前半の、ココというところでのミス。トライを獲りきれない。まだまだ、力の差がある現実を突きつけられたゲームでした。神戸製鋼にとっては、いい経験になったと思います。
冨岡キャプテンの涙に、こんな理由があったとは・・・。キャプテンとして気丈に戦っていました。立派です。やはり、彼はナイスガイです。
この記事を読みながら、トークライブでの話を思いだし、グッとくるものがありました。
投稿者: サファイヤ (Dec 16, 2006 12:24:12 PM)
富岡キャプテン、そんな状況でよくチームを引っ張ったんですね。本当に精神力の強い人ですね。
ボタ山で泥んこにまみれて遊んでいた富岡少年とお父上の物語が思い浮かばれ、村上さんのブログを読んでいて涙が出そうになりました。
投稿者: ひなP (Dec 16, 2006 8:21:11 AM)
おはようございます。
「男・冨岡」が、ますます好きになりました。
お父様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
投稿者: ユニオンジャック (Dec 16, 2006 7:26:48 AM)
今、新聞を読んで昨日の顛末に合点がいきました
最後の猛攻を凌ぎながらチームを引っ張るキャプテン。父上の求めた姿が、昨夜グランドの上で具現化されたのですね
キャプテンも凄いけど、父上のハートも凄い。いいエネルギーを貰った様な気がします
ラグビー三昧の週末、濃い内容でスタートしましたね
投稿者: ナベゾ (Dec 16, 2006 6:54:45 AM)
富岡キャプテン。
やはり,スゴイ人ですね。
涙にびっくりしていたので,村上さんの速報ありがとうございます。
投稿者: さちこ (Dec 16, 2006 12:01:21 AM)
先ほど東芝vs神戸をテレビで観戦しましたが、そんな事情が冨岡さんにあったとは。今からもう一度ビデオ見直したいと思います。
冨岡さんが胸を叩いていたシーン、印象的でした。
投稿者: 大元よしき (Dec 15, 2006 11:28:32 PM)
冨岡キャプテンと自分は学年違いだけど同い年。ましてや冨岡キャプテンのお父さんの方が若い。こういう事って自分にも起こり得る事だし、そんな時に同じポテンシャルを発揮できる事は難しいと思います。そういう意味では素晴らしい精神力、素晴らしいキャプテンシーですね。
投稿者: はり (Dec 15, 2006 11:14:59 PM)
そういう涙だったんですか。
投稿者: さんぼ (Dec 15, 2006 10:32:03 PM)