マイクロソフトカップ決勝戦
日曜日の秩父宮ラグビー場には、超満員の23,067人の大観衆が詰めかけた。スポーツ観戦の愛好者は名勝負の匂いに敏感に反応する。試合前から観客のみなさんによって好ゲームの雰囲気は作られていた。
前半は風上に立った東芝がSO廣瀬のロングタッチキックなどで陣地を進める。しかし、サントリーは長身のFL篠塚をラインアウトの前方に立たせて徹底的にプレッシャーをかけた。前半、東芝のラインアウト獲得率は50%ほど。陣地的に押し込みながら、起点で崩され東芝は攻めあぐんだ。そして前半24分、少ないチャンスをものにしようとSO廣瀬が放ったロングパスに「人数で余られていたのでパスを通させたくなかった」と、サントリーWTB栗原が反応してインターセプト。約80mを駆け抜ける先制トライをあげる。31分には東芝が冨岡、廣瀬の好走でチャンスを作り、CTBマクラウドが抜け出して同点としたが、風下で7-7の同点はサントリーのリードに等しかった。トップリーグ13試合にフル出場したNO8佐々木の負傷退場は痛恨だったが、ラインアウトでの優位性は後半も生きると思われた。
しかし後半、東芝はラインアウトを少人数にするなど対応し試合は一進一退の攻防に。CTBニコラスのPGで10-7のサントリーリードで迎えた18分、東芝LO侍バツベイがハイタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、サントリーに得点機が訪れる。東芝は、ゴール前5mでのサントリースクラムを1人少ない7人で組まなければいけなくなった。FWリーダーの中居は膝を痛めて宮下と交替。絶体絶命のピンチである。しかし、東芝は7人の結束力でこれを耐える。NO8ホルテンがLOの位置に入り、NO8がいない状況だったが、FL渡邉が機転を利かしてFL宮下と左右の位置を入れ替わり、左PR高橋の支えに回るなど工夫を凝らしてのスクラムだった。一方、サントリーのHO青木は「一列だけで組んでいるような感じで、8人がまとまれなかった」とこの場面を振り返った。
耐えた東芝は猛反撃に出るが、サントリーもFB有賀、CTBニコラスらの好タックルで東芝のミスを誘い、後半37分、ニコラスがPGを決めて13-7とリードを広げた。残り時間は、ロスタイムも入れて6分ほどだった。東芝はあきらめずボールをキープして攻める。大観衆が固唾を呑んで見守る白熱の攻防だった。サントリーもよく耐えてターンオーバーに成功。タッチに蹴り出して守りきったかに思われたが、この時点で時計は43分台。直前に「ロスタイムは4分」と発表されており、まだ数十秒が残されていた。
このラインアウトからの攻撃でサントリーの反則が続き、試合はそのまま継続。46分、東芝がゴール前のPKからドライビングモールで押し込む。歓声と悲鳴が交錯していた。あと1m。侍バツベイがボールを持ち出す。2人のタックルを受けながら、インゴールへ手が伸びる。しっかりとしたグラウンディングは、ポストのわずか左横だった。これで、12-13。最後は、WTB吉田が比較的簡単な位置からゴールを決めて、14-13と逆転。劇的幕切れでのトップリーグ三連覇達成だった。
「サントリーはいい集団になっていると思います。最後は『トライがとれなくてもいいから、5年間やってきたドライビングモールで行こう』。そう言ったら、大野や笠井が『(信頼してくれて)ありがとう』と言って、やってくれた」(冨岡鉄平キャプテン)。仲間を信じ、自分たちの強みを押し出した決勝トライだったわけだ。
サントリーの清宮監督は「優勝にはまだ足りないものがある」と語った。落胆する選手の姿に万感の思いはあっても試合運びには納得できないものが多かったようだ。1人少ない相手スクラムを押し込むことを優先し、数的優位を生かさなかったこと。風上に立った後半にキックで陣地を進められなかったこと。振り返れば、勝機はいくつもあった。「そういうことも含めて、まだ勝つチームじゃないということでしょう」。
両チームともに大事な場面でミスもあったし、無用な反則もあった。そして、それにつけ込めないシーンも多かった。優勝を賭けた大一番だからこその緊迫感が要因かもしれない。ただし、今季の完成形を目指す機会はまだ残されている。残り試合で、さらに両者が成長して質の高いゲームを見せてくれることを期待したい。
と、一気に書いてしまった。ふ~っ。けど、僕もJSPORTSで解説しつつ、かなり興奮した。もし、きょう初めてラグビーを見た人がいたら、このスポーツの激しさが目に焼きついたかもしれない。東芝の選手達の精神的な強さは印象に残った。しかし、両者の実力差は紙一重だ。サントリーの青木選手が言っていた。「1月の時は、個人的に完敗した感じだったのですが、今回は戦えた。次はもっとやれそうな気がします」。どの選手からも前向きな発言が多く、再戦が楽しみではある。でも他のチームにも頑張ってほしいしなぁ。とにかく、今季の残り試合をじっくり見せてもらいたいと思う。
◆トップリーグ2006-2007
プレーオフトーナメント
マイクソフトカップ決勝戦結果<東京・秩父宮ラグビー場>
東芝ブレイブルーパス○14-13●サントリーサンゴリアス(前半7-7)
試合後、日本選手権の組み合わせが発表になった。東芝とサントリーの再戦がなるのか。他のチームが意地を見せるか。2006年度国内シーズンの掉尾を飾る日本選手権は、あと5試合。
◆日本選手権組合せ
◇2月11日(日)秩父宮ラグビー場
12:00KO トヨタ自動車ヴェルブリッツ 対 九州電力キューデンヴォルテクス
14:00KO ヤマハ発動機ジュビロ 対 関東学院大学
◇2月18日(日)
14:00KO サントリーサンゴリアス 対 (トヨタ対九電の勝者)=花園ラグビー場
14:00KO 東芝ブレイブルーパス 対 (ヤマハ対関東学大の勝者)=秩父宮ラグビー場
◇2月25日(日)秩父宮ラグビー場 決勝戦 14:00KO
追記◎開幕したシックスネイションズのイングランド対スコットランド戦で、イングランド代表SOジョニー・ウィルキンソンが2003年W杯以来の復帰を果たしました。ラグビー史に残る名SOが「キング」と呼ばれてきた理由がよく分かるプレーを連発します。JSPORTSでリピート放送あり。ウィルコのファンは必見。現役でSOをしている選手にもぜひ見てほしい試合です。
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コメント
Helloniv - this is just a testing, don't worry about it
投稿者: Testerlrq (Feb 25, 2007 6:20:49 AM)
有賀選手への笠井選手のトリッピングは、今シーズン私が見たプレイの中でも、最も悪質なペナルティの一つに見えました(ビデオで見直しても、単に足が滑ったようには見えませんでした)。私見ではありますが、あれが、注意だけで済み、なおかつ、その後問題にもされないのは、悪い意味でのノーサイド精神と思います。
久しぶりにうまった競技場の満員の観客の中にはたくさんの子供たちもいました。子供たちは、トッププレイヤーに憧れ、そのプレイを真似します。その子供たちがあのプレイでも注意ですむんだと思ったらどうするのだろうかと思わずにはいられません。あのプレイは、場合によっては選手生命を脅かす可能性すらある悪質な行為です。
トップのプレイヤーは後進のためにも、プレイだけでなく意識もトップである必要があるはずです(トライされたボールを思いっきり蹴り出すなど、論外)。
試合が終わったからといって、看過できるようなことではないと思います。何らかの処断があってしかるべきでしょう。
試合そのものが素晴らしかっただけに、後味が悪く、日本ラグビーが、まだまだ世界のラグビーに互することができない理由のひとつを思い知らされました。
投稿者: ラグビー好きだから (Feb 7, 2007 11:10:07 AM)
東芝/サントリーの決勝戦はとても楽しくすばらいい試合でしたが、
それだけに審判の判定には少し納得出来ない箇所がいくつかありました。
1)ゴール直前での明らかに意識したハイタックルに見えたのは私だけでしょうか?
シンビンか認定トライにするか、反則を受けた側のチームが
選択出来るような新ルールはどうでしょうか?
2)有賀に対する足によるタックル(?)一発退場ものだと思いましたが、
バランスを崩したのか故意なのかを遠い位置から判断するのではなく
「ビデオ」判定の早期導入を望みたい。
3)相変らずの立川選手の興奮プレー、1回/試合なら我慢するが2回3回と見せられると、、、
観客が多かったこと、決勝戦であったこと、またロースコアな試合だったことを考えると
レフェリングの毅然さ求められるように思いました。
投稿者: 観るパパ (Feb 5, 2007 12:34:57 PM)
マイクロソフト決勝、6nations、Super14と、痺れる試合が続き、やや寝不足かつ、倦怠感を感じる週始めです。ある意味、幸せかも...
投稿者: エンドー (Feb 5, 2007 11:56:28 AM)
勝敗の行方はどちらでも良く、いいプレイを少しでも見たいと常々思っているので、そういう意味ではそこそこの内容のゲームであった。
一言で言えばラインアウトを中心に全ての局面で互角に渡り合ったサントリーを賞賛すべきだが、ラインアウトをあれだけ封じられると局面が変わるのは東芝の引き出しの少なさを感じた。
又、普段見れない信じられないノックオンやキックミス。DFを見ない飛ばしパスなど目を覆いたくなる場面があったが、これもサントリーのプレッシャーからでしょう。明らかな退場処分なプレイに注意で終わったレフリングには恐れ入った。
国内のゲームでこの様なミスを多発している限り、世界では大敗する事が容易に想像出来たし、より精度の高いプレイを期待したい。
投稿者: ponta1415 (Feb 5, 2007 9:32:35 AM)
サントリー、東芝のけが人の状態がわかれば教えてください。日本選手権には昨日ケガした選手は間に合うのでしょうか?
投稿者: TAMA (Feb 5, 2007 9:18:34 AM)
ぎっしり満員の秩父宮ラグビー場。気持ちいいですね~!日本のチャンピオンチームを決めるのに相応しい舞台でした。
サントリーはチャンピオンの座に上り詰める、その途上にある、ということでしょう。試合後の薫田監督のインタビューの表情は、その事実を認めているように見えました。
投稿者: マスター (Feb 5, 2007 8:09:27 AM)
ベルブリッツとジュビロのファンには申し訳ないですが、もう一度昨日のカードが実現する事を祈ってしまいます
シーズン中に頂上決戦の真剣勝負が3度も拝めるなんて
今シーズンは中身が濃いですね
投稿者: ナベゾ (Feb 5, 2007 5:56:09 AM)
ウィルコ復活劇場を心から堪能しました。左足のDGが決まった瞬間にはちょっと鳥肌というか泣きそうに・・・^^;
左足の派手なプレーが目立ちますが、体をはったタックル地味なプレーもあれだけできるからスターなんですよね♪日本人SOにはアタックはできてもあのディフェンスができないからなぁ・・・。
選手一人であそこまでイングランドが持ち直すとは。深緑さんの予想も変わるかな^^;
あとは怪我をしないでW杯までいくことを祈るのみです。無事これ名馬ですね♪
ロビンソンにエリス♪ひさびさにワクワクしたイングランドを見ました^^
投稿者: ターボ (Feb 5, 2007 5:18:33 AM)
私も一気に書いてしまいました。観客の多さには驚きました。満員札止めって、いつ以来でしょう?
きょうは立ち見で、実は細かいところは見えていませんでしたが、それでも、両チームの激しさは充分伝わってきて、ノーサイド間際は、もう、どうにかなりそうでしたよ。
投稿者: サファイヤ (Feb 5, 2007 1:35:06 AM)
サントリーのラインアウト作戦は
まるで、今年の関東と早稲田の
試合を思い起こさせた。
さすが、元早稲田の清宮監督。
東芝も後半は修正。
ただし、もう一人篠塚クラスの
選手が後にいると違っていたかも。
投稿者: mach55 (Feb 5, 2007 12:34:57 AM)
書き忘れましたけど、ハンドリングのミスが多いのは、なぜでしょうか?
ギリギリのところで戦っているから、と思うのですが、もしそうだとするならば、そこでパスをきちんと通せないのは、まだ日本のラグビーが世界との差を空けられたままだ、とは言えないでしょうか。強豪国では、それでもパスを通しているのではないでしょうか?
投稿者: rugbyhead (Feb 4, 2007 11:22:32 PM)
途轍もない、好ゲームでしたね。
しかし、惜しむらくは、こんな素晴らしいゲームが地上波で生放送されない事です。もし、地上波での生放送があったなら、ラグビーファン倍増も夢ではないのでは?
投稿者: rugbyhead (Feb 4, 2007 11:19:22 PM)
すごい試合だったんですね!ゴール裏まで満員の写真に感激するとともに、このファンあって好試合になったのでしょう。
そしてこの一点差は東芝の勝ちたい!という想いがサントリーを上回ったのだと思います。
この試合が日本でしか中継されないのはなんとも残念~。
投稿者: ひなP (Feb 4, 2007 11:13:33 PM)
マイクロソウフトカップファイナル!誰もが観客の多さに驚きました。ラグビーファンはみんな信じられないような気持で秩父宮で観ていたのかもしれません。そして、やっぱりこれだけの大観衆で、白熱の試合を披露していただいた両チームに心から拍手を送りたいともいます。でも、サントリーに勝って欲しかったです・・・・記事をいつものようにTBさせていただきました!よろしくお願いします!
投稿者: SANDA (Feb 4, 2007 11:11:56 PM)
秩父宮で見てきました。
あんなに観客の入りが早く混雑した秩父宮を久々に見ました。
東芝を応援していたのですが、ロースコアに胃がチクチク痛んでしまいました。
最後は緊張感から大興奮に変わったいいゲームでした。
投稿者: さちこ (Feb 4, 2007 11:07:50 PM)