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ウエールズ戦結果

日本代表の第3戦が終わった。立ち上がりは日本代表の前に出るディフェンスが機能し、前半19分には、LO大野が攻め込まれたラックのこぼれ球を拾って突進し、SOロビンスにパス。そこから、CTB大西、今村、WTB遠藤と、紙一重のパスがすべて決まって右隅にトライ。8-7と逆転して、ウエールズのサポーターを驚かせた。しかし、20分過ぎに、CTBジェームズ・フックにトライを許してからは、素速くワイドにボールを展開するウエールズを止められなくなった。大西将太郎の2PG、小野澤のインターセプトからの独走トライ。ピンポイントのタックルなど、いくつかの見せ場はあったが、セットプレーも乱され、キックでの陣取り合戦も劣勢(これは苦しかった)。攻撃面ではほとんど組織が機能しなかった。

ウエールズは、フレッシュな選手を投入し、その選手達が意欲的に動き回った。メディアやファンからは、最近のつまらない戦い方を酷評され、魅力的なゲームをすることが求められていた。だからこその素速いワイド展開だったと思う。いい時のウエールズは手がつけられない。日本がいくらディフェンスを固めても、あれだけ左右に大きく揺さぶられると足がついていかなくなる。緩いグラウンドにも悩まされて、選手達には疲れが蓄積するばかりだった。タックル数は、ウエールズの「88」に対して、日本は「138」である。終盤に投入されたSH金は言っていた。「素速くボールを動かそうとしたのですが、みんな疲れていて思うようにいかなかったです」。

ハーフタイムにロッカールームに戻る選手達の表情を見ることができたのだが、明らかに日本選手の方が消耗しているように見えた。守っているだけではフィットネスがもたない。しかし、攻撃に入ればすぐにターンオーバーやミスが起こる。ディフェンス組織が乱れた状況で攻撃されるからタックルミスも多くなった。力の差を見せつけられたというところだろう。

「ミスタックル、ターンオーバー、ボールを保持できなかったこと。それがすべてだと思います」。箕内キャプテンは記者会見の冒頭で語った。そして付け加えた。「我々が目指すべきラグビーを彼らが見せてくれたとも言えると思います」。この言葉がすべだという気がする。体格の劣るチームが素速さと攻撃の多彩さで劣っては勝機はない。ただし、2004年、この地でウエールズに大敗した時のことを聞かれるとこう言った。「あの時は何もできなかった。今回はターンオーバーもできたし、トライもできた。ウエールズはあの時より強かったと思います。そういう意味では我々も進化は証明できた。苦しい試合の中で最後まで切れずに戦ってくれた選手を誇りに思います」

その言葉通り、選手は力を振り絞って戦っていた。精神的には切れなかった。だからこそ、気持ちではどうにもならない大敗が痛々しかった。スタミナ抜群のLO大野も、「後半に入ってすぐに体の疲れを感じました」と言っていた。ウエールズの攻撃が多彩だったために疲れが倍増したということだろう。カーワンHCは、「W杯をポジティブに終わりたい」と、全力を尽くすことを誓ったが、好調のCTB大西が肋軟骨を骨折した疑いがあり、メンバー編成は苦労しそうだ。しかし、ここまで全力で戦いながら白星なしは辛すぎる。カナダ戦まで時間はないが、最善の準備で勝利をつかんでもらいたい。

◎試合結果
日本代表●18-72○ウエールズ代表(前半11-29)

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    コメント

    いつも楽しく拝見しています。
    ウェールス戦ですが、遠藤選手のトライの流れは素晴らしかったですね!
    コレソJAPANのトライだと思う反面、物足りなさも感じます。やはり、名CTB朽木選手のように強いタックル&精密なパスができる人が必要だと思います。

    投稿: なべすけ | 2007年9月22日 00:59

    よく頑張ったよ。次の厳しい?予選に勝てるチームをつくれば良いだけだ。予選を比較的楽に勝って本戦で善戦して負けるより、高い確率で勝てるチームが出来るということでしょ。

    ラグビーは良いスポーツです。
    日本人が外国人に勝つ可能性がギリギリであるスポーツだと思う。球技では、ラグビー(ルール上コンタクト有り)>サッカー(無し)>野球(無し)の順に難しいでしょう。ギリギリで難しいからこそ、そこが見たい!!

    今村、成長しましたね。ディフェンスがとてもよくなった印象です。

    投稿: jinseimarukuhiraganade | 2007年9月21日 23:30

    murakami san kobayasi san rennjitu no syuzai gokurou sama desu
    NIHON no siai deha nigasa nomi nokoru syoumi kuruisii siai de zannendesita .
    watasi mo ima EDINBURGH de ALL BLACKS to SCOTLAND no siai no atoni
    NIHON no ouen ni mairimasu.
    mata oai dekiru koto wo tanosimi ni siteimasu.

    投稿: nyankichi | 2007年9月21日 21:56

    ニッカンHPに「アレジW杯出場絶望」の記事。記事を読むと20日に絶望であることが判明。
    それでは、今までバックアップメンバーとして代表に帯同していた意義は何?

    投稿: いちラグビーファン | 2007年9月21日 21:29

     試合のコメントはおいておいて・・・。

     ここにコメントされている方は、掲示板などに良くある、一方的な悪口ではなく、前向きのコメントが多いことで、ちょっと嬉しくなりました。

     こんなファンが増えると、強くなりますよ、かならず。

    投稿: つゆざき | 2007年9月21日 21:27

    村上さん、解説おつかれさまでした。ウェールズ戦、完敗でしたね…。悔しいです。言いたい事はたくさんありましたが、他のコメントの方々がほとんど言われているのでここではやめておきます。ただ一つだけ失礼を承知でお聞きします。これから先、選手、首脳陣、協会、ファン、メディアが一体となってジャパンをきちんと強化できたとして、ワールドカップでウェールズクラスの相手に勝負できるチームを作れるでしょうか?信じたいけど、これだけの力量の差を見せつけられると正直不安です。総括の話のときでもいいので、贔屓目なしに村上さんの考えをぜひお聞かせください。長々とすいませんでした。

    投稿: りゅうくん | 2007年9月21日 20:50

     カーワンJapanaは頑張っていると思いますよ。一部の外人選手を除き。
    結果については、実力どおりではないでしょうか?世界はそんなにあまいものではないです。各国のプロリーグでもまれていますからね。TLは残念ながら、まだ、世界のそれと比べるとかなりレベルが低いです。このまま、放っておくと世界との差は開くばかりだと思います。
     巷では、カーワンの責任論をほのめかす人がいるようですが、就任1年にも満たない中で、1.5軍(怪我人が多いですから決してベストではないと思っています。)で世界のレベルにこれだけできるようになったのですから、高く評価してもいいのではないでしょうか。個人的には、もう4年間見たいというのが率直な気持ちです。 そして、真の1軍で世界の舞台に立って欲しいと思うのです。
     ところで、2chとかを読んでいると、やたら、他のスポーツとラグビーの比較をする人たちがいますが、そもそも、異なるスポーツ同士を比較することはナンセンスで、議論にはならないと思います。一部ラガーの皆様や関係者の中にはカッと来られる方がいらっしゃると思いますが、そこは一つ、冷静に、明日の日本ラグビーのために知恵を出し、汗を流しましょう。
     そこで、日本ラグビーを強くするためにはどうしたらよいのかということですが、
    1.継続的な組織体制→カーワンに少なくともあと4年間は頑張ってもらう。(HCがころころ替わるのはいかがかと思う。)
    2.人材の発掘(磨けば光る原石があるかもしれない。本当に今のJAPANのメンバーがベストなのか?ということを念頭にゼロベースで見つけ出す。)
    3.具体的な目標設定→次回WCへ向けて、綿密な中長期的なプランを立てるとともに、テストマッチを倍増する。目標は、まずは、ランキング10位以内。
    4.財政支援→予算面の支援として、「Japan強化基金」をつくる。(企業、個人)
    今ざっと、思いつくのはこの程度。

     基盤拡大(競技人口の増大、メディアでの取り扱い、学校教育への導入)、環境整備(グラウンドの芝生化、観客席の整備)といったものは、Japanが強くない限り、サポートは中々得られないでしょう。WC招致の話もありますが、Japanが今の程度の結果しか残せない状況においては
    時期尚早ではないでしょうか。モノには順番があります。私は、①Japanの強化・実力up②人気拡大③施設整備④WC招致立候補の順番だと思いますが・・・。

    何はともわれ、最後のカナダ戦、とにかく勝って欲しい。ガンバレ、Japan!!

    投稿: サル | 2007年9月21日 20:06

    世界との差を痛感させられました。

    いままで大差はあったけどそれはメンバー編制だったり、強化不足だったり気持ちがはじめから切れてたり。

    最後まで気持ちが切れなくてもこの点差・・。

    ここからどうやって世界との差を縮めていけばいいのか。

    日本ラグビー全体のバックスの根本的な改革からしていかなければ。
    バックスでトライが取れるプレーの復活を。

    投稿: ターボ | 2007年9月21日 19:50

    選手層の薄さ、甘いタックル、さぼっている選手など現段階での課題が如実に顕れたゲームだった。付け焼き刃で勝てるほどワールドカップは甘くないということだろう。せめて南太平洋諸国と勝ち負け出来るだけのレベルに達しないと前途は厳しい。

    投稿: ローズプレステージ | 2007年9月21日 19:29

    ジャパンの課題が浮き出た試合でした
    問題は、この現実にいかに向き合えるかでしょうね
    WC終わって解散するだけなら芸がなさ過ぎますから

    投稿: 瑞穂 | 2007年9月21日 18:03

    日本代表は頑張った。
    しかし、この結果を受けて評価するのはすでに日本代表に愛着を抱いている人たちであり、
    普段ラグビーに関心のない大多数の人たちには大敗の印象しか残らない。
    ワールドカップは代表が脚光を浴び、新しいファンを開拓することができる数少ない機会。
    それを生かすには最低でも強烈な「勝利」が必要なのだが。
    本大会出場も危うい次回大会以降のことを考えると日本ラグビーの行く末が本当に心配だ。

    投稿: リッヒ | 2007年9月21日 18:02

    ジャパンは本当によくがんばってもらいました。世界と差があるのは間違えのない現実であって、当然我々ファンは過大評価することは当然の部分かもしれません。大差になっても最後まできれることなく本当に頑張ったメンバーやと心から思います。カナダ戦も魂を見せてください。そしてJKにも次のRWCまでやってもらえれば必ず2勝できる力はつくと確信しています。がんばれ!ジャパン!

    投稿: PROP | 2007年9月21日 16:48

    休暇先のオーストラリアで見ました。
    ウェールズは腐ってもウェールズですね。

    現地の放送では、試合開始前に、ロビンスのSOとして不慣れな点を懸念していました。
    残念ながら、実際、そのとおりになってしまいましたね。
    試合中は、小野澤の果敢なプレーを高く評価していたのと、ロアマヌのプレーにネガティブな評価をしていたのが印象的でした。

    私の個人的な見解ですが、今回のチームがなかなか結果が出ないのは、一重に経験不足に起因していると思います。総キャップ数で比較するのが正しいか分かりませんが、他国、向井Japanに比べて、かなり少ないですよね。

    最後の1試合、期待しています。

    投稿: DBJ | 2007年9月21日 15:25

    ロアマヌのやる気の無さにビックリしました。
    ていうか、ディフェンスしろよ。
    動きは緩慢だし。
    FBのおまえがあきらめたら、後ろはいないだろう。

    しかも、オーバーウエイトだろう。
    デカイだけで何の役にも立っていない。

    それから、なぜSOをちゃんと補強しなかったのか?
    それがいろんな歪みを生んだと思いますね。

    投稿: 六郎丸 | 2007年9月21日 12:31

    選手のみなさん、お疲れ様。前半20分までの健闘は見事でした。でも、あれを80分間続けろというのは酷な話です。

    カナダ戦までは4日しかないんですね。あえて3日休んでしまうというのはどうでしょう。

    大西選手がいないのは痛いなぁ。

    投稿: らぐじ~ | 2007年9月21日 11:23

    オーストラリア戦とフィジー戦を現地で見ました。選手が全力で戦っているのを実感でき、感動しました。Wales戦は期待していたのですが、フィジー戦の疲れがまだ残っていたのでしょうか、プレイの精度が悪すぎです。でも、最後のカナダ戦は信じています。

    最後に、JKに次の4年を継続してほしいです。

    投稿: らがー太郎 | 2007年9月21日 10:50

    頑張って早起きして観戦しました。
    ネガティブになっても何も生み出さないのは
    分かっているのですが、正直言って悔しい・悲しいを通り越して虚しさを感じてしまいました。

    日本のレベルも向上しているけれども、
    世界はそれ以上のスピードで進化している
    ということなのででしょうか。

    投稿: yas | 2007年9月21日 10:46

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