« 東芝、新加入選手発表 | トップページ | 福知山市にて »

京都トークライブ(60万回のトライ編)

5日の夜は、京都・烏丸松原「パーカーハウスロール」で、映画『60万回のトライ』の朴思柔(ぱく・さゆ)、朴敦史(ぱく・とんさ)両監督、そして藤島大さんと、約2時間。映画のこと、大阪朝高のこと、ラグビーの魅力など、大いに語った。

201406051

まずは、「60万回のトライ」について、藤島大さんに感想を聞いた。藤島さんは映画好きでドキュメンタリーも数えられないくらい見ている人だ。「面白かった、というのが一番。いろんな問題を教えてくれるけれど、純粋に青春物語として楽しめる。観終わったあとに、余韻が残る」。藤島さんが印象に残ったのは、黄尚玄(ふぁん・さんひょん)という、控えのプロップだった選手がキャプテンの怪我によって3番を任され、まったく組めなかったシーンと、大阪府の予選決勝では、見事な組み方をするところが見えたところだった。「具体的に成長していた。スポーツドキュメンタリーとして感動するし、高校生が確実に進歩している。あのスクラムの組み方も渋い」。

その後は、撮影の裏話や、在日コリアンの人々が置かれている現状など、さまざまな話をした。ハーフタイムを挟んで、なぜ、今回、この3人のゲストが揃ったのかという話をしたのだが、共同監督の朴敦史さんは、藤島さんの文章のファンになったきっかけとして、2010年の高校選抜大会の決勝戦(東福岡対大阪朝高)の試合後に書かれた、ラグビーマガジンのコラムを紹介した。「大阪朝高のみんなが奪い合うようにしてラグビーマガジンを読んでいました。それを読ませてもらったんです」。そこには、大阪朝高のタ低いタックルについての記述があった。「僕がこの記述が好きなんです。≪大阪朝鮮のタックルは、いつだって「瞬間」だった。光速と書きたくなる高速の線が横なぐりに走り「点」と化す。背番号9、梁正秋のタックルは絶対に折れぬ柄の先だ…≫。僕はラグビーの初心者で、タックルの事もよく分かっていなかったのですが、ああ、低いタックルは槍で、タックルは勇敢さがなくてはできないのだと、イメージに刻まれました」

そこからは、取材現場で藤島さんをずっと見つめる敦史さんの話に大笑い。ちなみに、朴思柔監督は、僕のことは、JSPORTSの解説で声だけ聞いてくれていた。「私、アナウンサーの方かと思っていました。はじめて、村上さんの顔を観たのは、吉本ラグビー新喜劇です。遠くから見ると、すごくかっこよく見えました」。なぜか、会場爆笑。このあたりは、大さんを持ち上げて終わった感じ(苦笑)。

両監督が映画の製作を通して、どんどんラグビーにはまっていったことも話してくれた。思柔さんにいたっては、「私、顔を見ると、この人はラグビーをしていた人だと分かるようになったんです。それは、顔が綺麗だからです。見た目ではなく、心が綺麗なんです」と、ラグビー関係者には嬉しいコメント。お2人が、東日本大震災の時に東北に取材に入り、全国の同胞から支援が届いた話や、「小さな声、低い視線」をモットーに、「コマ プレス」を結成した思いなどを聞いた。「この世の中の小さな声を、ひとつひとつ拾って、プレス、つまりプレッシャーをかけたい、そういう思いなのです」。

在日の歴史などで興味深い話がたくさんあったのだが、それはまた別の機会に書きたい。

この映画を見て改めて感じたこととして、藤島さんはこう話した。「人間の心を深く揺さぶるのは、思想、政治の体制、経済の成功、道徳ではなく、一篇の詩なんですね。ラグビーのあの姿を見ると、今まで見てこなかったことが心に刻まれるわけです」。我々は大阪朝高のラグビー部の存在をしってはいても、学校の中で何が行われているのか、彼らがどんな生活を送っているのか、知らなかった。それをこの映画は、頭で考えた映像ではなく、ありのままを見せてくれる。そこがいい、という話だった。

映画の中で、大阪朝高ラグビー部の呉英吉監督が生徒たちに「スポーツには社会を変える」と話す場面がある。この件についても、藤島さんが解説してくれた。長くなるので、僕がその時紹介した藤島さんの文章の一説を書いておきたい。≪なぜスポーツは社会を変える力を得るのか。スポーツに打ち込むとき、人は本当によい人でありうるからだ。よい人とは自由は人のことだ。自分が自由であるから他者への寛容を保てる。その人らしさを認められる…≫(JSPORTSのWEBコラムより)

楽しくて、勉強になるトークライブだった気がする。企画してくださった黒田先生、ありがとうございます。

201406062

『60万回のトライ』は、この夏から、韓国でも公開される。日本でも仙台、福岡、尾道など全国各地で上映される。まだ、見ていない方は、ぜひ見てみてください。
上映場所の情報などは以下をご確認ください。
http://www.komapress.net/

|

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


  • « 東芝、新加入選手発表 | トップページ | 福知山市にて »

    「日記」カテゴリの記事




    コメント

    藤島さんのコラム「よりよき社会にトライ」は、僕も感動しました。
    全さんの「民族も国も超えて、思いやりのある人材を育てて欲しい」という言葉は重いですね。
    僕もラグビーに携わった一人として、思いやりのある心の綺麗な人にならんといけませんね。
    北朝鮮、韓国、日本の3国は、政治や負の歴史、ヘイトスピーチなどの不穏な状況もありますが、
    ラグビーを愛する一市民として隣国の人たちと仲良くしていきたいものです。
    七芸で購入した全さんの「タックルせえ!」、読んで勉強します。

    投稿: 岡山スポーツファン | 2014年6月 6日 16:30

    コメントを書く



    (ウェブ上には掲載しません)


    コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



    トラックバック

    この記事のトラックバックURL:
    http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/86642/59768984

    この記事へのトラックバック一覧です: 京都トークライブ(60万回のトライ編):

    « 東芝、新加入選手発表 | トップページ | 福知山市にて »